東京地方裁判所 昭和48年(特わ)138号 判決
被告人
本籍
東京都新宿区新宿三丁目一一〇番地
住居
東京都新宿区新宿三丁目三六番一〇号
職業
会社役員
氏名
両角寿内
年令
五〇年(大正一二年三月八日生)
被告事件
所得税法違反
出席検察官
河野博
出席弁護人
浅見敏夫、木内曾益
主文
1 被告人を懲役七月および罰金一〇〇〇万円に処する。
2 右罰金を完納しえないときは金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
3 本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、東京都新宿区角筈一丁目一〇番地(昭和四八年一月一日新住居表示実施後は同区新宿三丁目三六番一〇号)において、「玉川寿司」なる屋号で寿司店を経営していたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四四年分の実際総所得金額が別紙第一記載のとおり五二〇四万七四三二円あつたのにかかわらず、昭和四五年三月一六日東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在の所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一三八四万九九四八円でこれに対する所得税額が五六三万五四〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により同年分の正規の所得税額二九四六万三八〇〇円と右申告税額との差額二三八二万八四〇〇円を免れ、
第二、昭和四五年分の実際総所得金額が別紙第二記載のとおり五一〇一万一一一八円あつたのにかかわらず、昭和四六年三月一五日前記所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一九四五万二七四四円でこれに対する所得税額が八三五万八〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、もつて右不正の行為により同年分の正規の所得税額二七七八万三二〇〇円と右申告税額との差額一九四二万五二〇〇円を免れ
たもの(各年の税額の算定は別紙第三記載のとおり)である。
(証拠の標目)
一、 被告人の当公判廷における供述ならびに検察官に対する供述調書
一、 被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書三通
一、 押収してある所得税確定申告書一綴(昭和四八年押第九七一号の10)
一、 両角喜代子の検察官に対する供述調書
一、 次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書
今泉登美、両角喜代子(二通)、山賀守
一、 次の者の作成にかかる証明書
鈴木章、茂木勇、二村和之(四通)、平井舜郎、長縄綱男、山田陽、小川才市、小出久、藤沢栄一、秋山規造、高木勇、岡阪嘉宜
一、 次の者の作成にかかる各上申書
山田陽、竹ノ上岩雄、小川才市、小出久、藤沢栄一、高村晃、二村和之、竹谷栄三郎、村上哲夫、代居保、荒井隆三、秋山規、小野軍八、鈴木章、平井舜郎、吉江伯方、宮崎貞光、山賀守、熱田みつえ、竹村平也、川崎清、伊藤善章、小松三造、石橋よし、野本良次郎、横山米吉、被告人(三通)
一、 次の大蔵事務官作成の調査書
宮内常助(一八通)、岩田稔(一三通)
一、大蔵事務官作成の「預金残高合計表」「現金有価証券等現在高検査てん末書」「金銭信託残高合計表」「預金利息(実名分)集計表」、「預金利息合計表」「収益分配金合計表」
一、 押収にかかる次の各証拠物(押収番号はいずれも昭和四八年押第九七一号で、かつこ内はその符号)
総勘定元帳三綴(1、2、5)、抵当権設定金銭消費貸借契約書等一袋(3)、使用済普通預金通帳一冊(4)、所得税確定申告書控等一綴(6)、売掛帳一綴(7)、メモ一葉等一袋(8)、定期預金満期票一袋(9)、一人別関係書類つづり一綴(11)
(法令の適用)
1 該当罰条
所得税法二三八条(懲役と罰金を併科)
2 併合加重
刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
3 換刑処分
刑法一八条
4 執行猶予
懲役刑につき刑法二五条一項
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 池田真一)
(別紙第一) 修正貸借対照表
両角寿内
昭和44年12月31日
〈省略〉
〈省略〉
(別紙第二) 修正貸借対照表
両角寿内
昭和45年12月31日
〈省略〉
〈省略〉
(別紙第三)
税額計算書
両角寿内
(1) 昭和44年分
〈省略〉
注1 51,079,000×0.7=35,755,300
35,755,300-6,291,500=29,463,800円
(2) 昭和45年分
〈省略〉
注2 49,872,000×0.662=33,015,264
33,015,264-5,232,000=27,783,264円